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2019.06.24 [お知らせ]

硬膜外麻酔による無痛分娩の説明書

一人の女性が出産する回数が少なくなるにつれ、一回の出産のもつ意義はますます大きくなっています。個性や多様性が重視される現在、お産の痛みに対する考え方も人それぞれです。「痛みは我慢してでも自然に出産したい。」と考えている方もおられれば、「できるなら痛みはなるべく感じないで自然に出産したい。」と希望される方もおられることと思います。

当院では妊産婦さん一人一人の出産に対する考え方を尊重しており、希望される方には「硬膜外麻酔による無痛分娩」という方法を提供いたします。これは陣痛による痛みを軽減し、分娩の自然経過を手助けし、母子ともにストレスを最大限に減らす試みとご理解ください。どの方法を選択されるかはあくまで産婦さんご自身です。十分な医療上の説明(利点、欠点など)を受けられたうえでご夫婦、ご家族でお決めください。納得のいかないことや疑問点には時間が許す限り十分な説明をもって対処いたします。

 

硬膜外麻酔による無痛分娩とは?

現在、欧米先進国では大部分の出産に何らかの痛み止めの手段がほどこされており、その中で最も一般的な方法が「硬膜外麻酔による無痛分娩」です。

米国では41%、フランスでは65%の分娩がこの方法によるといわれています。日本ではまだ6%ですが少しづつ増加しているようです。

さて出産に伴う子宮収縮や産道の広がりによる痛みは背中の脊髄神経というところを通って脳に伝えられます。硬膜外麻酔による無痛分娩の際は、細くて柔らかいチューブ(カテーテルと呼びます)を背中から腰の脊髄神経のすぐ近くに挿入して(その場所を硬膜外腔とよびます)麻酔薬を少量ずつ注入します。そうして脊髄からの痛みの情報を脳に伝えなくすることで陣痛の痛みを緩和・和らげる方法です。麻酔中はお母さんの意識は保たれ、下半身の痛みを伝える感覚が鈍くなりますが、運動や感覚麻痺が生じるわけではありません。これで赤ちゃんの下降や子宮の収縮をある程度感じながら、ゆっくり「いきみ」のタイミングをとることで分娩を無理なく進めることが可能になります。ほとんどの場合、痛みはわずかに感じる程度ですが、痛みの感じ方は痛み刺激の種類、麻酔の効き具合や精神的な不安なども含めた様々な条件が影響して個人差が出ます。したがって出産間近になると多少の痛みを訴える場合がありますが、先ほどのカテーテルから麻酔薬を追加することで制御がほぼ可能です。一般に無痛分娩と呼ばれていますが、「和通分娩」や「疼痛緩和分娩」と言った方がより適切な表現かもしれません。

結果的にこの方法によって産婦さんの大多数の方々が痛みの軽減を体験され、分娩に対する恐怖感が少なく、精神的にも肉体的にもストレスが軽く、赤ちゃんにも余裕を持って接することができると思います。よって精神的にパニックになりやすい体質、高齢出産などの問題があり、分娩による痛みからくるストレスを軽減し、産道の緊張を取った方が良いと考えられる場合にはこの方法をお勧めします。

当院の「硬膜外麻酔による無痛分娩」の対応と手続きについて

この分娩方法は通常の分娩に比べて麻酔管理という特殊性があり、安全性重視のためにより多くのスタッフの動員が必要となります。したがって深夜間や週末の場合には安全性の点で問題が生じかねませんので、特別の場合を除いてお断りすることがあります。また当院の事情でお引受けできない日もありますのであらかじめご承知ください。

そこで希望している妊婦さんがなるべく硬膜外無痛分娩を受けられるように、当院では分娩の日取りをあらかじめ決め自然の陣痛を待たずに点滴からの陣痛誘発剤を使って分娩を進行させるいわゆる「計画無痛分娩」を行っております。しかしこの方法は子宮の入り口が柔らかくなり児頭の下がりも良くなければ成功しません。したがってご希望の方はあらかじめお申し出ください。十分な時間をかけた説明を受けたうえで同意と承諾書を双方取り交わすことになります。

料金に関しては一般の分娩と同様に健康保険は適応されませんので、分娩料金プラス8万円となります。

 

硬膜外麻酔による無痛分娩の実際のあらまし

当院では夜間は人手が少ないため緊急時十分な対応ができかねますのでできるだけ日中にお産が終了できるよう日にちを決めて無痛分娩を行う計画無痛分娩を行っています。

まず前日に入院していただき硬膜外カテーテル(痛み止めを入れる細い管)を腰に挿入します。硬膜外カテーテルの挿入は安全を第一に考えて救急蘇生処置ができる手術室で行います。まず水分の補給と薬剤投与の目的で静脈点滴を行います。血圧計やパルスオキシメータ(動脈血酸素飽和度モニター)を装着して横向きになり、猫のようにできるだけ背中を丸くした姿勢をとってもらいます。

同カテーテルは腰の高さで背中の脊柱の骨と骨の間から挿入します。カテーテルを挿入する箇所に硬膜外針を穿刺しますが、あらかじめ局所麻酔薬による除痛処置をしますので痛みはあまりありません。針を挿入中は動くと危険ですので指示された姿勢を維持してください。硬膜外腔に針を到達させたら、硬膜外カテーテルをそこに留置して硬膜外針は抜いてしまいます。同カテーテルは容易に抜けないように固定されますので、この後は自由に姿勢を変えることができます。また必要に応じてメトロ(子宮口を広げる風船)を子宮の入り口に挿入することがあります。

翌朝より点滴にて陣痛促進を開始します。痛みが出てきたらカテーテルより麻酔薬を注入し硬膜外麻酔を開始します。硬膜外麻酔の薬を投与すると15~20分程度で陣痛の痛みが消失します。もし鎮痛効果が不十分な場合カテーテルの入れ直しや脊髄くも膜下麻酔を追加することがあります。子宮の収縮は持続したままです。カテーテルが正しい位置に挿入されているか、陣痛の軽減が十分できそうか、母子ともに循環動態に異常がないかなどを確認する作業が約1時間程度継続されます。その後は安全性を計算された局所麻酔薬が自動ポンプより少量ずつ投与され鎮痛を維持していきます。出産後は分娩に関する処置(会陰縫合は痛くありません)まで続けてカテーテルは抜きます。

硬膜外無痛分娩中は下半身に軽い麻酔がかかった状態であるため、基本的には分娩が終了するまでベッド上での安静臥位になります。体位の変換は自由で会話も睡眠も可能です。ただ、食事は控えさせてもらいます。水分の摂取は許可があればできます。夫や母親等の面会や同席も可能です。この無痛分娩が終了して数時間もすれば歩行が可能になります。授乳は通常と同じようにできます。

 

「硬膜外無痛分娩」での副作用や合併症について

一般的な麻酔作用の問題として軽い低血圧が生じますが、点滴や昇圧剤で十分対処できます。麻酔開始後は1時間ごとに右、左と体位を変換して横臥位になってもらうことで低血圧の防止と下半身の麻酔が左右均等になることを計ります。めったにありませんが硬膜外麻酔に使用した薬剤で体がかゆくなることがありますが我慢できる程度のことで心配いりません。その他、背中の注射した場所にしばらく痛みが残ったり、起き上がると軽い頭痛を数日間感じたりすることもあります。

まれな合併症に硬膜外カテーテルが硬膜を貫いて脊髄神経の納まっているクモ膜下腔に迷入することがあります。このときは麻酔が上半身にまで広がり呼吸が苦しくなることが起こります。万が一起こった際には適切な処置をするのでご安心ください。また、カテーテル挿入の際に先端が硬膜外腔にある静脈に入り急性局所麻酔薬中毒を起こすこともありますがすぐに適切な処置をを行いますので重篤な急性局所麻酔薬中毒の危険性は避けることが可能です。

いずれの副作用や合併症に際しても母子の安全性を最優先に講じられる対策と準備を持って臨んでいますのでご安心ください。

無痛分娩施設情報はこちらを参照ください。

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