国の助成金制度

厚生労働省が実施する「不妊に悩む方への特定治療支援事業」があります。高額な医療費がかかる体外受精や顕微授精といった治療に対して、一部費用の助成が行われます。

地方自治体の助成金制度

例えば、治療回数の拡大、助成額の増額、所得制限の緩和、対象治療の拡大（人工授精なども含む）と、国の制度に上乗せした独自の助成金制度を設けているところがあります。自治体によって支援内容は大きく異なり、ある自治体では体外受精の全費用を補助している一方で、別の自治体では特定の医療機関での治療に限って補助を行っているなど、地域差が顕著です。

民間企業による支援制度

一部の企業では、福利厚生の一環として不妊治療の支援を行っています。治療費の全額または一部を補助する制度、通院や治療のために必要な時間を確保できる不妊治療休暇の導入、仕事と治療の両立を支援する時短勤務制度の適用など、様々な取り組みが見られます。

これらの制度を上手く組み合わせることで、経済的な負担を抑えながら治療に専念できます。ただし、各制度には申請期限や所得制限などの条件が定められているため、治療を開始する前に内容を調べて自分に合った支援制度を選択しましょう。

事前準備：必要書類の確認

不妊治療の助成金を申請するためには、まず必要な書類を確認し、準備することが大切です。

主な必要書類

• 申請書
• 住民票（夫婦それぞれのもの）
• 特定不妊治療受診等証明書
• 先進医療にかかる費用の領収書（原本）
• 先進医療にかかる同意書の写し

書類の準備で気を付けたいこと

これらの書類を準備する際の注意点をいくつか挙げます。

• 住民票は申請日前3ヵ月以内に発行されたものを用意する
• 特定不妊治療受診等証明書は、治療を受けたクリニックに記入してもらう
• 先進医療にかかる費用が明確にわかる領収書を用意する

追加書類が必要になるケース

また、申請者の状況によっては追加の書類が必要になる場合があります。

• 事実婚の場合：同一世帯であることを証明する書類
• 居住地が勤務地と異なる場合：申請者の勤務先が申請地内にあることを証明する書類

申請に必要な書類は自治体によって異なる場合があるため、事前に確認しましょう。また、書類に不備があると、申請が受理されないかもしれません。準備の段階で不明な点があれば、担当窓口に問い合わせることをおすすめします。

医療機関での治療と証明書の取得

特定不妊治療費の助成を受けるためには、医療機関での治療と証明書の取得が重要なステップとなります。

指定医療機関の選択

助成対象となる治療を行うためには、都道府県が指定する医療機関を選ぶ必要があります。

治療の実施

医師と相談のうえ、適切な不妊治療を受けます。治療内容や回数は個々の状況により異なります。

証明書の作成依頼

治療終了後、医療機関に証明書の作成を依頼します。注意点としては、指定の様式（第2号様式）を使用し、両面印刷で作成することです。最新の様式を使用しているか、確認しましょう。

証明書の受け取り

医療機関から証明書を受け取る際、記載内容に誤りがないか必ず確認しましょう。

証明書の保管

申請時に必要となるため、大切に保管してください。

証明書の取得は助成金申請の重要な一歩です。医療機関とのコミュニケーションを密にし、正確な情報を記載してもらうことが、スムーズな申請につながります。

申請書類の作成と提出

助成金の申請書類を作成する際は、正確さと丁寧さが重要です。

• 必要書類の準備
• 申請書の入手
• 申請方法（電子申請、郵送申請など）

申請書類の作成と提出は、助成金受給の重要なステップです。正確な情報記入と期限厳守を心がけ、不明点があれば問い合わせることをおすすめします。

審査と助成金の受給

申請書類の確認

提出された申請書類を確認します。不備がある場合は、申請者に連絡が入ります。

審査

書類に不備がなければ、助成要件を満たしているかどうかの審査が行われます。

審査結果の通知

審査の結果、承認または不承認の決定通知書が申請者に送付されます。

助成金の受給

承認された場合、申請者の指定口座に助成金が振り込まれます。

※注意点

• 申請から助成金受給までの期間は、書類に不備がない場合でも数ヵ月かかる
• 助成金の受給は夫婦1組につき1回限り
• 申請期限を過ぎると申請受付ができない

このように、審査から助成金受給までの流れを把握しておくことで、スムーズな申請手続きが可能となります。

申請期限を確認して余裕を持って準備する

不妊治療の助成金を申請する際、重要なポイントの一つが申請期限の確認です。期限を過ぎてしまうと、せっかくの助成を受けられなくなってしまうおそれがあります。申請の準備を始める際のポイントは以下のとおりです。

• 医療機関での治療終了日を確認し、カレンダーに申請期限を記入する
• 必要書類のリストを作成し、早めに準備を始める
• 住民票など、有効期限のある書類は申請直前に取得する
• 書類の不備がないか、複数回チェックする
• 郵送の場合は配達日数を考慮し、余裕を持って投函する

正確な情報記入と書類の不備チェック

助成金申請の際、書類の不備は審査の遅れや申請却下の原因となります。正確な情報記入と綿密な不備チェックが重要です。

まず、申請書類の準備段階で以下の点に注意しましょう。

• 「不妊検査等助成事業受診等証明書」は医療機関が記入
• 住民票の写し、戸籍全部事項証明書などは申請日から3ヵ月以内に発行されたもの

「不妊検査等助成事業受診等証明書」は、夫婦が別々の医療機関で検査を受けた場合、それぞれの証明書が必要です。本人控えとしてコピーを取っておくことをおすすめします。

次に、申請書類は漏れなく記入する、記入内容に誤りがないかを確認する、署名・捺印が必要な箇所を確認するなどがポイントです。

複数の制度を賢く組み合わせる

不妊治療の経済的な負担を軽減するには、複数の制度を組み合わせて活用することも効果的です。各制度の細かい規定や申請方法などは変更される場合もあるため、最新情報を確認することが重要です。不明な点がある場合は、各自治体の担当窓口に相談することをおすすめします。

医療機関との連携を密にする

不妊治療の助成金申請をスムーズに進めるためには、医療機関との連携を密にすることが重要です。助成金申請に必要な情報や書類を漏れなく準備できます。また、治療の進捗状況を把握し、適切なタイミングで申請することも可能となるのです。