押さえておきたい赤ちゃんの出産経路

出産スタイルを選ぶにあたって、赤ちゃんが出てくる経路について知ることもポイントです。まず分娩は、赤ちゃんの出産経路に応じて経膣分娩と帝王切開に分けられます。経膣分娩は赤ちゃんが産道を通り、膣から出てくる方法です。一方、帝王切開は産道を通らず、おなかと子宮を切開して赤ちゃんを取り上げます。出産時、自分自身のいきむ力を使うのか、手術が必要になるのかといった点が違いです。

経膣分娩の主な種類をチェック！

膣から生まれてくる経腟分娩には、主な種類として自然分娩・無痛分娩・計画分娩などがあります。

・ポピュラーな自然分娩

自然に任せて陣痛が起こるのを待ち、陣痛の間隔が短くなり、子宮口がしっかりと開いたら自分の力でいきんで赤ちゃんを出産する方法です。自然分娩は経膣分娩の総称として使われるケースが多いです。

基本的に医療介入はしませんが、状況に応じて会陰切開・浣腸・点滴などの処置をすることがあります。

・楽な体勢を自由に選べるフリースタイル出産

妊婦さん自身が楽だと感じる体勢で行える出産スタイルです。横向き・四つ這い・スクワットなど、どのような体位も自由に選択できます。痛みを感じにくい体勢を自分で見つけられるため、結果的に身体への負担が少なく、お産をスムーズに進められます。

また、お湯に浸かった状態で出産する水中出産も選択肢の一つです。温水に浸かることで身体がリラックスし、痛みを緩和できると考えられています。水中では重力を感じにくいため、自由に体位を変えられる点も魅力です。

ただし、日本では水中出産に対応している産婦人科が少なく、ガイドラインも定められていません。事前に感染症のリスクなどもしっかりと調べたうえで検討することが重要です。

・陣痛の痛みや不安を軽減させる無痛分娩

主に硬膜外麻酔を使って出産時の痛みを和らげる出産スタイルです。意識は保たれるため、通常の出産と同様に子宮の収縮に合わせていきむことができます。痛みが和らぐことで体力的・精神的にも負担が少なく、産後の回復が早い点もメリットです。

しかし、麻酔による副作用などのリスクはゼロではありません。無痛分娩を希望する場合、メリット・デメリットをよく理解して選択することをおすすめします。

・呼吸で気持ちを落ち着かせるラマーズ法

陣痛の間隔に合わせて「ヒッ、ヒッ、フー」という呼吸を繰り返し、陣痛の痛みを緩和する呼吸法です。パターン化されたリズムの呼吸に集中することで、気持ちを落ち着かせるという目的があります。心理的な無痛分娩に該当します。

特別な道具や場所を必要とせず、比較的簡単に行えるのがメリットです。両親学級などで呼吸法のレクチャーを受けられます。

・心身のリラックス状態を意識するソフロロジー分娩

こちらも心理的無痛分娩の一種で、リラックスした状態で出産することを目的とした分娩法です。妊娠中から呼吸法に加えて、イメージトレーニングやエクササイズなどを行い、心と身体の緊張・緩和が自然に意識できるようになります。出産に対する意識が前向きになる効果が期待されるため、不安感が強い妊婦さんに適した方法です。

・計画的な出産を行う計画分娩

出産日をあらかじめ決めておき、陣痛促進剤などを用いて陣痛を促す出産スタイルです。正産期を超過している、本人・家族の希望などのケースで行われます。入院日や出産日などが把握できるため、立ち会い出産がしやすい、家族でスケジュールを合わせやすいなどのメリットがあります。

増加傾向にある帝王切開

何らかの理由によって自然分娩を回避する場合、帝王切開が選択肢になります。帝王切開には、事前に出産日を計画して行われる予定帝王切開と、医師に経膣分娩が難しいと判断されたときに行われる緊急帝王切開があります。母子の安全を守ることや、高齢出産などのハイリスク症例が増加しているといった理由から、最近では帝王切開による出産も特別なことではなくなってきています。