人工授精（AIH）はどのような治療？

まず、人工授精について理解を深めることが大切です。人工授精は採取した精液を洗浄して精子を選別し、排卵日に合わせて子宮内へ直接注入する治療法です。

自然妊娠は膣に射精された精子が卵子と巡り合い、子宮に到達・着床するという流れです。人工授精は直接子宮に精子を届けることで、妊娠の確率を高めます。受精後の過程は自然妊娠と同じなことから、タイミング法の次に実施されるケースが多いです。比較的費用がかからない、身体への負担が少ないことなどがメリットといえます。

・体外受精との違いは？

人工授精と混同されやすい治療法として体外受精があります。体外受精は卵巣から卵子を取り出し、精子と受精させてから子宮内に戻す方法です。排卵誘発剤を使用することも多いです。人工授精は採卵や胚移植などの処置が必要ないため、治療時の痛みが比較的少なく、身体への負担もかかりにくいといえるでしょう。

そんな人工授精の向き・不向きは主に精子の状態で判別します。

人工授精が適しているケース

先述したように、人工授精は精子を子宮に直接注入する方法です。精子の数・運動率がやや足りず、自力で卵子・子宮にたどり着けない場合に人工授精は向いています。

また、タイミング法で妊娠が得られなかった場合や、できるだけ自然に近い形で妊娠を望む場合にもおすすめの治療法です。

その他、仕事の都合などで性交渉のタイミングが合わない、勃起障害（ED）、勃起はするが射精できない射精障害、精子が膣から子宮に入れない進入障害などのケースにも有効といえます。

人工授精が適していないケース

人工授精が適応するケースもあれば、適応しないケースもあります。例えば、精子無力症や重度の乏精子症などで精子の状態が著しく悪く、総運動精子数が100～500万に満たない場合、人工授精ではなく体外受精・顕微授精が選択肢に挙げられます。

また、卵管が狭いもしくは閉じている、卵管の通りを良くする処置が行えないといった場合も、別の治療法を選ぶケースが少なくありません。その他、女性の年齢が高い場合もあまり向いておらず、体外受精が検討されます。